「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」
メアリー・バフェット、デビッド・クラーク著
この本は、バフェットの銘柄選択方法をもっとも体系的かつ実用的に説明した本です。
ウォーレン・バフェット自身は本を書いていないので、バフェットのノウハウを解説した本は大抵メアリー・バフェットが書いたものであることがほとんどです。
メアリー・バフェットはウォーレン・バフェットの息子ピーターの元妻であり、バフェット関連の書籍ではもっとも信頼できる著者の一人です。
実際にバフェット流の投資をする際に、「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」は必読の実践書です。
一方、本書の姉妹本である「麗しのバフェット銘柄」はさらに広い範囲の理論と事例に特化した本です。
「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」でもそれについては言及しているので引用しましょう。
この2冊の本は補完的な関係にあり、もちろん両方読んで頂ければ、バフェットの投資手法についてより深い理解が得られるだろう。『バフェットロジー』はバフェットの「オーナーの視点に立った投資(Business Perspective Investing)」の考え方の解説に重点があり、このワークブックは、バフェットが株式市場の短期志向を利用して前代未聞の高収益率を実現したプロセスを詳細に紹介している。
「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」はじめにより抜粋
ここに書いてある『バフェットロジー』は「麗しのバフェット銘柄」の旧版です。
残念ながら旧版は翻訳されていませんが、敢えて旧版を読む必要はないでしょう。
僕のおすすめとしては、「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」の内容を実践してからおもむろに「麗しのバフェット銘柄」を読むことです。
僕はこの順序で学んだことで「麗しのバフェット銘柄」の内容がスッと入って来ました。
多分、逆の順番だとそうはいかなかったと思います。
「麗しのバフェット銘柄」については以下の記事で紹介しているので良かったら読んでみて下さい。
▼バフェットの銘柄選択の理論と事例がわかるおすすめの本はこれだ!
また、「麗しのバフェット銘柄」の事例解説は簡潔ですが、詳細な分析事例を参考にしたい場合は、これまた同じ著者による「バフェットの株式ポートフォリオ」をおすすめします。
17の企業についてバフェット銘柄分析の実際を詳細に解説しているので、「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」を読んだ後に実例で実戦感覚をつかむのにおすすめです。
ちなみに「バフェットの株式ポートフォリオ」については、以下の記事で解説しているので、良かったらご覧ください。
▼バフェットの銘柄選択の事例研究をするならこの本がおすすめ!
それでは、「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」についてご紹介しましょう。
本書は【基礎編】と【応用編】に分かれているので、それぞれ説明していきます。
【基礎編】バフェットの銘柄選択で「消費者独占力」を持つ企業か否かを判定する
長期投資におけるバフェットの銘柄選択で核となる部分が「消費者独占力」を持つ企業か否かを判定する部分です。
これは、「永続的競争優位性」や「堀」と呼ばれたりもします。
経営実績以前に、ビジネスモデルとしてこれらの優位性が存在することを判定することで、長期的に収益を生み出し続ける企業を見出すわけです。
この分野に関しては、ある程度実績を積んだら「千年投資の公理」と言うパット・ドーシーの名著がおすすめですが、まずはここに書いてあることを実践することで力がついて来るでしょう。
「千年投資の公理」については、以下の記事で解説しているので、良かったら読んで下さい。
▼バフェット流銘柄選択に自信がつくおすすめ本! 「千年投資の公理」
著者のパット・ドーシーはモーニングスター株式リサーチ部門のディレクターで、同社の堀のレーティングの開発における中心メンバーです。
バフェットの関係者が書いたわけではないので、バフェット関連本としては見落とされ勝ちですが、僕自身にとってはムチャクチャ役に立ちました。
【応用編】バフェットの方程式で実績と数値の徹底分析による銘柄選択を身につける
【応用編】を実践することで、10年間の経営実績の時系列分析、現在の財務状況のチェック、現在の株価の価格分析(割安 or 割高)などを自分自身の手でできるようになります。
この部分は、実際に電卓やExcelで自分自身で計算しながら読み進めて下さい。
【基礎編】でもそうですが、【応用編】では自習問題はすべてやってみて下さい。
これらをやりながら読み進めて、最後にケーススタディを見ると理解が確実に深まります。
「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」の原題は「The Buffettology Workbook」、つまりこの本はワークブックなんですよ。
ワークブックなんだから、問題を解かなきゃいけない訳です。
実際にはExcelに計算式を投入してそれを使うことになりますが、当初は手書きと電卓でこれはと思う企業を分析していくと、だんだんわかってくるようになります。
また、この分野に関してもある程度慣れてきたら、同じ著者の「 バフェットの財務諸表を読む力」がおすすめです。
財務分析がより詳しく解説されているのでおすすめです。
投資は自己責任。
リスク管理を徹底して楽しみましょう。