
この本が出版された時、実は僕…投資からはほぼ離れていたのですが、その内容に衝撃を受けたのを覚えています。
世の中的には難解な本とされながらもベストセラーとなり、さまざまな解説本も出版されていましたね。
とは言え、この本に書かれていることはただ一つ。
r>g
「だからそれが、何なんだってばよ!」
実は、この式が正しい長期投資が、マクロ的には必ず成功することを証明してしまったのです。
だからこそ長期投資家にはこの本の内容を知ることをおすすめします。
実際に読めば得るモノは大きいと思いますが、この手の本に慣れていない人や時間が無い人にとってそれは難しい。
そこで、これから「21世紀の資本」のエッセンスを説明しましょう。
これさえ押さえておけば、読まなくても大丈夫!
r>gとは何か?
教科書的にはrは資本収益率。
じゃあ、資本収益率ってのは何なのか?
資本とは資本金や投資資金、生産設備や公共設備、それに生産するための土地などを意味します。
現代ではこれらを手に入れたり、整備するのにお金が必要なので資本=投資資金と考えて良いでしょう。
つまり、資本収益率とは投資によりどれだけ収益を得られるかを意味します。
投資効果と言っても良い。
次にgですが、これは国民所得の成長率を表します。
平たく言うと経済成長率ですね。
GDP(国内総生産)の成長率だと考えても良いのですが、正確にはGNP(国民総生産)の成長率になります。
僕が子どもの頃は、ニュースとかでもGNPって言ってたんだけどなあ。
国自体の経済力を表すにはGDPの方が都合が良いので、ある時から世の中ではGDPが使われるようになりました。
で、話をもどすとGNP(国民総生産)ってのは、ザックリ言うと国民の所得の合計。
要約すると、r>gってのは、所得=給料が増えるより、投資の方がお金は早く増えるよってこと。
つまり、長期投資家にとっての「21世紀の資本」のエッセンスは、投資をする方が働くよりも儲かるってことなんだ。
それは2千年のデータで証明された
この結論は法則や論理で導かれたものではない。
過去のデータを調べた結果の歴史的事実。
この本を書いたピケティのすごいところは、2千年以上のデータを調べちゃったってところです。
「いやいや、それはウソだ!」
ウソじゃないよ。

この通り、西暦0年からのデータを調べ、2100年までの予測まで立てている。
黒塗がrつまり資本収益率で、白塗りがgつまり国民所得の成長率。
グラフには世界産出と書いてあるけど、国と言う概念でくくれないのでそう言っているだけです。
まあ、これだけ遡ると国の形とかも変わるので国別なんてことは言ってられない。
資本といっても、初期のころはほぼ土地ですね。
土地は、農産物を生産するための資本だった時期が長いのです。
ちなみに、1946年から1973年までの間、rとgの差が縮まっています。
税金を考慮すると実はこの間、一時的にわずかに逆転しちゃったりもしています。
その理由がわかりますか?
第二次世界大戦からの復興。
この大戦により破壊された資本と、その後の復興における労働需要により、一時的にgが優勢になったということです。
ただ、これは2千年を通してレアケースと言えるでしょう。
つまり、長期的に見て労働より投資の方が効率よく稼ぐことが可能だということが2千年のデータで検証されたと言う事です。
ピケティが最後に主張したこと
「21世紀の資本」を書いたピケティは、r>gと言う事実から、放っておけば貧富の差が広がることを発見しちゃいました。
あなたならその時どうします?
ピケティはその格差社会を止めようとしました。
資本により多く課税することで世の中は良くなると。
私たちにとって身近な資本に対する課税は相続税や贈与税、固定資産税などです。
ピケティは、さらに抜本的な資本税の導入を主張しました。
確かに正論でしょう。
ただ、ある国だけで実施すると投資家や富裕層が逃げ出してしまう。
あらゆる国で同時に実施しなければならない。
ちょっとユートピア論みたいで、実現性に乏しい。
ピケティもそれは自覚していて、それ以外にも色々なアイディアを出していますが、抜本的な改革は難しいでしょう。
ならば、r>gを活用して富裕層以外も利益を得る方法を身につける社会と言うのも解決策の一つになるのではないでしょうか?
これこそが、僕がこのブログを書いている理由でもあります。
投資は自己責任。
リスク管理を徹底して楽しみましょう。