初心者からベテランまで長期投資のおすすめ本【BEST3】

長期投資には明確な判断基準があります。

迷いやドキドキがあるとしたら、それは投資ではなくギャンブルです。

過去のデータを数値化し現実を見た上で、しかもそれは過去の結果でしかないと言う認識。

このある意味矛盾する両面の事実を冷静に評価する姿勢が長期投資には必要です。

これらを効率良く理解するための3冊を重要なものから順に紹介しましょう。

初心者は最初の1冊か2冊だけでも結構です。

ベテランは3冊とも必読ですが、既にすべて読んでいる方がほとんどでしょう。

それでは、紹介をはじめます。

初心者が長期投資の本質を理解するために最初におすすめする本「敗者のゲーム 原著第6版」チャールズ・エリス著

50年前であれば、市場に勝つこともできたかもしれない。しかし、そんな時代はとうに終わっている。

「敗者のゲーム 原著第6版」チャールズ・エリス著 31頁

本書に書かれている中で一番わかりやすい市場の変化の一例は、投資家の構成が個人投資家90%から機関投資家90%に逆転してしまったこと。

すでに市場自体がプロの世界。

うまいことやれば勝つ要素は極めて少なく、ミスをすれば負ける要素が極めて多いゲームに変貌しました。

タイトルにもなっている「敗者のゲーム」とは、このことを指します。

したがって、当然ながら著者は市場に負けないインデックス運用をすすめるわけです。

また、そうした場合の投資家の正しい姿勢から解説してくれています。

「投資家の正しい姿勢?」

市場に勝つことが可能だった50年前なら投資成果に対する運用機関(ファンドマネージャー)の責任は大きなものだと言えたでしょう。

しかししながら現在は状況が違います。

なので、投資成果に対する責任の重さとして以下の考えは方は誤りだと著者は説きます。

▼誤った考え方

運用機関の責任 > 市場の責任 > 投資家自身の責任

そして、正しい考え方は以下の通りであると説くのです。

▼正しい考え方

投資家自身の責任 > 市場の責任 > 運用機関の責任

インデックス運用を前提にした場合、投資成果に対して運用機関の責任が一番低くなるのは当然です。

運用機関は投資成果に対してではなく、設計通りのインデックス運用がなされていることに対して責任を負うのみです。

では、もっとも責任の重い投資家自身の責任はいかにして背負えば良いのでしょうか?

運用基本方針を策定することがベースとなり、著者はこれをわかりやすくするため5段階に整理しています。

以下、ある程度要約して記します。

  • 第1段階
    自分自身の長期運用目的の確認と、その達成のために望ましい資産配分比率の策定(株式・債券などへの配分)
  • 第2段階
    株式ポートフォリオの構成の決定(債券なども)
  • 第3段階
    アクティブ対パッシブ比率の決定(多くの投資家にとっては、長期的にはパッシブがおすすめ)
  • 第4段階
    個別ファンドの選択(残念なことにほとんどの投資家はこの点に多くの時間を費やす)
  • 第5段階
    アクティブな運用(個別銘柄の選択・売買実行)

この中で、最小コストで最大効果を生み出すのは第1段階であると著者は言い切ります。

逆に、第4段階、第5段階は最もコストがかかる割に効果はほとんど無いと言います。

アクティブ運用を熱心にすればするほど税金やコストがかかるからです。

そして、個々の事情に合わせた具体的な方針やプランの立て方を解説しています。

また、プランを立てる際にもっとも難しい長期平均期待収益率の予測に関しても、長期の統計情報から安全側に倒して算出したしたと考えられる数値を181頁に提示しています。

これ一冊あれば長期投資を自信を持って計画できるようになるでしょう。


投資信託のパイオニアによる投資信託徹底解説が長期投資初心者に超おすすめ「インデックス投資は勝者のゲーム」ジョン・C・ボーグル著

コストを差し引く前では市場に勝つことはゼロサムゲームだが、コストを差し引いたあとでは敗者のゲームとなる。

「インデックス投資は勝者のゲーム」ジョン・C・ボーグル著 70頁

本書は、伝説となった投資信託のパイオニアでありバンガードの創業者である故・ジョン・C・ボーグルの著書です。

バンガードの創業者だけあって、収益を複利的に阻害する主要な要因となるコストに徹底的にこだわります。

それにより、チャールズ・エリスの「敗者のゲーム」とは別の意味で、なぜ多くのプレイヤーが敗者のゲームに巻き込まれてしまうのかが明らかになって行きます。

運用会社の中の人がセールスではなく個人投資家視点で解説しているのだから、必読に値します。

逆に、証券業界からすると、不都合な真実に近い内容が満載で、このような本が出版できる米国の証券業界の懐の深さに感服します。

運用会社のプロの視点で様々なアクティブファンドの具体的な問題点や具体的な投資方法を説明していきます。

  • アクティブファンドが持つ、税金も含めた非効率なコスト構造
  • 一時的にパフォーマンスが高くなっている投資信託が、別の時期にはパフォーマンスが低下している平均回帰
  • アドバイザーが推奨するファンドより自分で選んだファンドの方がリターンが高い?
  • ETFの問題点
  • アセットアロケーション(資産配分)の重要性

チャールズ・エリスの「敗者のゲーム」と同様、やはりもっとも重要なのはアセットアロケーション(資産配分)であるわけです。

投資信託運営のプロから投資の神髄を学べる一冊です。


長期投資の初心者からベテランまでおすすめのバイブル「ウォール街のランダム・ウォーカー 原著第12版」バートン・マルキール著

最初に明確にしておきますが、私自身も、おそらく著者も純粋なランダムウォーク理論を単純に信じてはいるわけではありません。

純粋なランダムウォークでは、暴落、高騰は発生し得ませんし、市場確率計算上のロングテール問題も発生し得ません。

なので、私の立場は、ほとんどの場面で市場は疑似的にランダムウォークであり、きわめて特殊な場合(砂上の楼閣、暴落、高騰)のみにおいてトレンドを形成すると言うものです。

そして、本書を普通に読む限り、著者も同様の立場であると理解しています。

とは言え、原則はランダムウォークであることには変わりはありません。

そして、その結論はインデックス・ファンドへの投資。

その結論を導くまでの歴史的、技術的検証を詳細にしています。

また、インデックス・ファンドの運用に関しても様々な戦略の紹介、検証をしています。

例えば、本書で紹介されているレバレッジをかけたリスク・パリティー・ポートフォリオと言うのは、当ブログでも投資対象にしているレバレッジ型バランスファンドにあたります。

また、ライフサイクルに合わせたアセットミックス(資産配分)の例や時代区分ごとのリターンの推移など、上級者が活用できるデータが多いのが特徴です。

長期投資の永遠のバイブルと言えるでしょう。

投資は自己責任。

リスク管理を徹底して楽しみましょう。