一般に入手可能でこれだけ読めば日本経済の今後を見通すことができる、正しい経済学と財政論がわかる本を見繕ってみました。
紹介する本は以下の7冊。
- 「99%の日本人がわかっていない国債の真実」高橋洋一著
- 「「10%消費税」が日本経済を破壊する」藤井聡著
- 「目からウロコが落ちる奇跡の経済教室【基礎知識編】」中野剛志著
- 「全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】」中野剛志著
- 「富国と強兵 地政経済学序説」中野剛志著
- 「MMT現代貨幣理論入門」L・ランダル・レイ著
- 「MMTによる令和「新」経済論」藤井聡著
入手が容易で、わかりやすく、正しいものを厳選したので、著者は4人に絞られてしまいました。
中野剛志先生と藤井聡先生はMMT寄りの論者ですが、高橋洋一先生は反MMTのスタンスです。
ランダル・レイ教授はMMTの提唱者の一人ですね。
ちなみに、僕自身はMMT論者よりです。
理由は、MMTは道具として有効だからです。
MMTだろうが反MMTだろうが、僕にとっては正しければ何でも良いのです。
では、「正しい」事の定義は何か?
経済学の場合、僕の「正しい」事の定義は「今後の実体経済を予測可能かつ過去の実体経済を無理なく説明可能であること」です。
実体経済の説明と予測が出来ない経済学は机上の空論に過ぎません。
以下、それぞれの本について説明して行きますが、興味があるものから手に取って頂ければ良いと思います。
日本の今後を見通すために必要な国債の仕組みまるわかり
- 「99%の日本人がわかっていない国債の真実」高橋洋一著
書名と重なりますが、僕の実感としても99%の国民が国債と言うものを理解していません。
国債を「国の借金」と表現するのが正しいと思っている時点で根本的に理解していないのですが、理解していながら悪意を持って「国の借金」と表現する人もいます。
おおざっぱな感覚としては、10万円の国債と10万円の預金や現金に大差は無いと言うのがほぼ正しいです。
そこに疑問を感じるなら是非この本を読んで欲しい。
著者は元大蔵官僚で小泉内閣と第一次安倍内閣ではブレーンとして活躍されていた方です。
MMT云々ではなく、まずはすべてに共通する【国債】感、財政感を身につけないと財政政策に対する判定も経済予測も出来ません。
日本の今後を見通すための租税システムと財政政策まるわかり
- 「「10%消費税」が日本経済を破壊する」藤井聡著
租税システムを含む財政政策の分析と予測を豊富なデータやグラフに基づいて解説しています。
タイトルは多くの場合、著者じゃなくて編集者が決めるので、扇情的なのはあまり気にしないでください。
まあ、大袈裟でもないタイトルではあるんですけどね。
2020年5月2日現在、コロナショックと騒いでますが、日本経済の落ち込みの大部分はコロナが無くても予測されていたことです。
2019年10-12月の経済統計でも、その予測通りになっていますしね。
因みに、この本にはMMTのMの字も出てきません。
データに基づいた普遍的な財政論だからです。
日本の今後を見通すためのMMT理論の基礎まるわかり
- 「目からウロコが落ちる奇跡の経済教室【基礎知識編】」中野剛志著
今回紹介する本の中でMMTについて一番わかりやすいのはこの本。
MMT理解のキモは、貨幣と税の本質と財政赤字の制約は(赤字の量や累積ではなく)どこにあるかを理解することです。
そこが、とてもわかりやすく書かれています。
家計やビジネスと財政はまったく別ものであることが、初心者でも良くわかります。
日本の今後を見通すための経済政策論まるわかり
- 「全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】」中野剛志著
上記の本で解説された基礎知識をさらに経済政策論に発展させたのがこの本。
主流派経済学者やグローバリストがMMTに反論する理由も含めて、それらの主張への反論や具体的な政策論をわかりやすく展開します。
最初からこの本を読んでも理解できるように書かれているので、興味がわいたらいきなりこの本を読んでも平気です。
日本の今後を見通すための国家の経済戦略まるわかり
- 「富国と強兵 地政経済学序説」中野剛志著
これまでに紹介した中野剛先生の主張の背後にある理論を詳細に解説したのが、この本です。
と言うか、本書がベースにあって、奇跡の経済学教室シリーズが出来たと言う方が正しいですね。
経済学を国家論と結び付けて論じています。
国家が崩壊したら自由経済も崩壊するので、実践的であるなら経済学と国家論は結びつけて論じるのは正しいアプローチでしょう。
地政学、経済学、国家論、世界史などに一定の素養がある方におすすめします。
初心者には結構つらいかもしれません。
ずぶの素人向けではないのですが、実践的かつ立体的な経済学的感覚を、一冊で身に着けるにはかなりお得な良書です。
日本の今後を見通すためのMMT理論本格入門まるわかり
- 「MMT現代貨幣理論入門」L・ランダル・レイ著
MMTについて、より正確な学術的素養を身につけたい方におすすめなのがこの本。
MMTの提唱者の一人であるランダル・レイ教授の入門書です。
MMTを解説する立場なら、これは絶対に読むべき一冊。
ただ、私見としては「就業保証プログラム」は多分に米国固有の事情が反映されているような気がします。
米国では、失業率の抑制はFRBの使命の一つとなっており、明示的に金融政策によるコントロールに対象になっています。
これを、金融政策から財政政策に引き戻す意味合いが強いのかと感じました。
なので、日本にそのまま導入すべきだとは感じません。
あと、巻末の松尾先生の解説にはちょっと違和感を感じますね。
日本の今後を見通すためのMMT実践解説まるわかり
- 「MMTによる令和「新」経済論」藤井聡著
MMTを日本のシステムに適用したらどうなるのかを、初心者にもわかりやすく解説したのがこの本です。
本書ではMMTを日本のシステムに適用したらどうなるかを、豊富なデータと事例でわかりやすく解説。
また、巻末の「付録1 MMTにおける財政規律の数理的表現」が素晴らしいですね。
現実的でないほどの財政赤字でない限りクラウディングアウトは発生しないと言う数理的証明がなされています。
数式のレベルは大学の一般教養程度なので、理系の高校生なら習ってなくてもわかるであろうレベルです。
MMTを実際に日本の状況に適用させるとどうなるかが、大変よくわかります。
投資は自己責任。
リスク管理を徹底して楽しみましょう。