アルゼンチンの国債の格付けが落ち、デフォルトの危険が叫ばれています。
また、この騒ぎに便乗して、日本の債券も他人事じゃないなどと言う根も葉もないプロパガンダが流れています。
もっとも誤解されている以下の2点について解説しましょう。
- アルゼンチンの国債の種類と日本の国債との決定的な違い
- アルゼンチンがデフォルト(債務不履行)した場合の影響は?
- アルゼンチンの経済構造と改善策
アルゼンチンの国債の種類と日本の国債との決定的な違い
アルゼンチンの国債は主に2種類あります。
サムライ債と呼ばれる円建てのアルゼンチン国債が一つ目。
これは主に日本が購入しています。
二つ目がユーロ円債と呼ばれるアルゼンチン国債で、これは主にユーロを中心とする海外で流通しています。
つまり、アルゼンチンの国債を返済するには日本円が必要になるため、そのための外貨の獲得と為替の安定が必要になります。
また、自国通貨建ての国債も発行していますが、自国民が買うのではなく主に外国人が買うため、リスクプレミアムとして高い金利が設定されています。
一方、日本の国債は100%日本円建てなので、円を発行することでいつでも返済可能。
外国人が買うことを禁じ手はいませんが、主に購入するのは自国民と自国企業。
したがって、両国の国債残高を単純に借入額で比較することはナンセンスです。
アルゼンチンがデフォルト(債務不履行)した場合の影響は?
残念ながら一概にどうだとは言えません。
償還期限が100年とかの国債も多いので、そう言ったものは現時点でデフォルト(債務不履行)する可能性は薄いですし。
持っている人や金融機関は今頃評価額がガッツリ減っていますが、まあ影響と言ってもその程度です。
今、わかっているのは、米債券ファンド運営会社パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)が、世界トップクラスの利回りを誇るアルゼンチン国債(2020年6月償還債)を発行額の約30%相当買い入れた事実があるということです。
デフォルトの前科があり、もともとリスクも高いアルゼンチンの国債を持っている人の自業自得と言っちゃっていい。
より現実的な影響はアルゼンチンペソの下落です。
輸入超過国としては厳しい面がありますが、一方でチャンスでもあります。
アルゼンチンの経済構造と考えられる改善策
アルゼンチンは農産物と金などの資源、そして配送トラックなどを輸出しています。
一方でハイテクインフラ、車、生活必需品などを輸入しています。
つまり、アルゼンチンにはインフラや日用品、車の供給能力が不足しているということです。
この経済構造で国民にお金をばら撒くような政策をした場合、インフレを加速します。
国民にお金をばら撒く代わりに、生産インフラや工場の整備を進めることによって供給能力を引き上げる政策をする一方で、需要は抑えなければなりません。
そうすることで、貿易収支も改善し、内需を受け止めるだけの供給能力を確立できるようになるわけです。
そういう意味でIMFの緊縮財政の要求はまんざら間違ってもいないのですが、インフラを整備するための支出は認めるべきだと思いますね。
そういうわけで、今後どのような政策が行われるかで、今後の経済の動きが予測できます。
投資は自己責任。
リスク管理を徹底して楽しみましょう。