ドルコスト平均法のメリット、デメリットをシミュレーションで徹底解説

ドルコスト平均法は時間的なリスク分散手法であり、長期投資の初期において特に暴落時のリスクを大幅に低減します。

また、レンジ相場と呼ばれる価格が一定の範囲で上下するもみあい局面では、効率的な投資配分により僅かながら利益を得ることができます。

しかしながら、その対価として価格上昇局面におけるパフォーマンスを低減するデメリットも存在します。

また、追加投資額の割合が全体の投資額に比べて小さくなっていけば、その効果はメリット、デメリットを含めて徐々に消失して行きます。

この性質から、投資期間が長くなるほどリスクが低減する性質を持つ、株式の長期投資に於いてドルコスト平均法は最大の効果を発揮します。

これから、それについてシミュレーションを示しつつ徹底解説していきましょう。

ドルコスト平均法の最大のデメリットは上昇局面に現れる

最初に買った価格から株価が絶対に下がらず、確実に上がっていく。

それが分かっている場合は、ドルコスト平均法を使うべきではありません。

簡単なシミュレーションの結果を示しましょう。

最初に100万円を持っていると仮定します。

赤い線がドルコスト平均法で毎月1万円ずつ投資した場合です。

一方、ライトグリーンの線は100万円を最初に投資した場合です。

株価は最初の価格より絶対に下がらず、ジグザグを描きながら確実に上昇して行きます。

はじめからそのような値動きが分かっているなら、ドルコスト平均法なんかでちまちま買うより最初に全額投資した方が良いに決まっています。

また、この図でドルコスト平均法のもう一つの重要な性質がわかります。

ドルコスト平均法の波が、後半になる程、初期一括投資の波に近づいて行くのがわかりますか?

つまり、ドルコスト平均法の効果は既に投入した資金に対する追加投資の割合が減って行くにしたがい、その効果も減るということです。

話をもとに戻しましょう。

ところで、株価は普通は単純に上昇するような動きはしません。

長期投資をしていると、さらに大きな波が度々起きます。


上がって下がった時のデメリットを知れば、良くある失敗を避けられる

次に検証するのは、株価が上がってから下がる場合です。

では、さっそく見てみましょう。

今回は、最初に12万円を持っていると仮定。

赤い線がドルコスト平均法で毎月1万円ずつ投資した場合です。

一方、ライトグリーンの線は12万円を最初に投資した場合です。

先ほど説明した通り、ドルコスト平均法では一方的な上昇局面ではパフォーマンスが出ません。

その代わり、下降も緩やかなので、最後の方ではその差は縮まっているのがわかると思います。

しかしながら、最初に一括で買った場合よりは損をしています。

11月目の時点では、株価は最初の時点と同じで、最初に全額を投資した場合の損失はゼロですが、ドルコスト平均法の場合は3万円ちょっとの損失が出ています。

つまり、調子が良い時にドルコスト平均法で買い始め、調子が悪くなったら売ると言うのは最悪の選択肢であることがこのシミュレーションからわかります。

これをやりがちなのが、初心者の投資信託の切り替えの罠です。

それについては、以下の記事を参照してください。

▼投資信託で大損しない方法 運用方法と銘柄選択の罠を避けるには?

https://kantan-beikokukabu.com/big-loss-for-fund-management-348


下がって上がる=暴落への耐性が最大のメリット

さっそく、下がって上がるパターンを見てみましょう。

今回も、最初に12万円を持っていると仮定。

赤い線がドルコスト平均法で毎月1万円ずつ投資した場合です。

一方、ライトグリーンの線は12万円を最初に投資した場合です。

このパターンがドルコスト平均法がもっとも得意とするところです。

下げ幅が圧倒的に違いますし、その後の上がり方も圧倒的ですね。

ただし、先ほども話しましたが、既に株を買った額に対する追加投資額の割合が減ってくると、その効果は徐々に小さくなっていきます

今回は、初期に暴落が発生したため、これだけの効果がありましたが、後半になればなるほどその効果は小さくなります。

つまり、ドルコスト平均法の主目的の一つは、長期投資の初期における暴落時のリスク低減です。


レンジ相場における効率的な投資資金配分効果

レンジ相場とは、一定の範囲で株価が上昇と下降を繰り返しているもみあい相場です。

さっそくシミュレーションを見てみましょう。

最初に100万円を持っていると仮定します。

赤い線がドルコスト平均法で毎月1万円ずつ投資した場合です。

一方、ライトグリーンの線は100万円を最初に投資した場合です。

良く言われる、金額が一定なので、安い時は多く買えるが、高い時は少ししか買えないことによる効率的な投資資金配分効果ですが、そこそこの効果があるのがわかりますね。

この効果も後半になるにつれ小さくなって行くのがわかると思います。

以上で、ドルコスト平均法のメリット、デメリットはほぼ説明し尽くしました。


結論

結論としては、ドルコスト平均法のメリットは以下の二つです。

  1. 長期投資の初期における暴落時のリスク低減
  2. レンジ相場における投資資金配分効率化

このうち、長期投資をする際に重要なのは、1番目の暴落時のリスク低減効果です。

つまり、ドルコスト平均法にもっとも適しているのは、投資を長期化すればリスクが低減するアセットクラス=株式と結論付けられます。

株式が投資を長期化すればリスクが低減する根拠については、以下の記事で説明しているので是非ご覧ください。

▼長期投資で株が最強な理由とは? シーゲルの「株式投資」

今回のおすすめ本は、ジェレミー・シーゲル教授の「株式投資」。 長期投資で経済成長以上のリターンを得られるということは、...

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