アメリカによるイラン革命防衛隊司令官ソレイマニ殺害までの経緯と今後のイラン情勢の予測をたぬき先生がわかりやすく講義 ~たぬき先生とうさぴょんの楽々国際政治~

ソレイマニ司令官殺害から緊迫化するイラン情勢。

一筋縄ではいかないのは承知の上で、一つの見方としてその構造とこれからの予測をたぬき先生に講義してもらいましょう。

一枚岩ではなかった今までのイランとアメリカの関係

たぬき先生
たぬき先生
これまでのイランとアメリカの関係って、うさぴょんはどう思って見ていたのかな?
うさぴょん
うさぴょん
えっ?
とくに、何も考えてなかったんだぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
安倍首相が米国との仲裁でイランを訪問している時に日本のタンカーが攻撃されたり、トランプ大統領がイランのロウハニ大統領に会おうとするとサウジアラビアが空爆されたしたよね?
うさぴょん
うさぴょん
そう言えば、色々あったんだぴょん!
たぬき先生
たぬき先生
平和ボケしているとピンとこないかも知れないけど、日本が普通の国家であれば、タンカーの攻撃から普通に国際紛争に発展するし、サウジアラビアへの空爆は米国の同盟国への明確な攻撃行為なので即座に反撃ってのもありえる状況だったりもする。
サウジアラビアの場合、米国が反撃または威嚇をしなかった事自体が米国サイドと言うか米国のトランプ大統領陣営が戦争をしたくないと言う意思を明確に示していると思う。
うさぴょん
うさぴょん
えっ!
かなりやばい状況だったのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
イラン側にも、米国側にも、和解させたくない勢力がいるからね。
トランプ大統領陣営に明確に戦争をしたくない意思がなければ厳しい状況だったはずだよ。
うさぴょん
うさぴょん
和解させたくない勢力ってどんな勢力なんだぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
イランに敵対する国々や米国との覇権戦争を有利に進めたい中国、そもそもソレイマニ司令官率いる革命防衛隊そのものが反米色が強し、イラン政府側にも反米勢力はいる。
米国側で言うと、ネオコンや中国系ロビーストなんかだね。



ソレイマニ司令官の殺害に正当性はあるのか?

うさぴょん
うさぴょん
ちょっと待ってくれぴょん。
なんか革命防衛隊とイラン政府とは別みたいな言い方をしたいなかったかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
ああ、革命防衛隊はイランの正規軍じゃないからね。
イラン政府とは別の、イスラム教最高指導者直轄の軍隊なんだ。
だから、より正確に言うとイスラム革命防衛隊。
それ自体は何も悪いことではない。
しかし、イラク人への虐殺やテロの支援などが目立っていたため、2019年4月15日から米国からテロ組織認定を受けていた。
そりゃあ、イランとの和解のタイミングので、革命防衛隊は邪魔するのも無理はないかもね。
うさぴょん
うさぴょん
じゃあ、ソレイマニ司令官殺害ってそれほど理不尽な話ではないのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
テロリストの殺害を認められるなら、ソレイマニ司令官の殺害は認められると思う。
日本では、例のごとく一方的な報道しかされないけどね。
トランプ大統領が、選択することが想定されていなかった非現実的な「最も極端な選択肢」を選択した結果、ソレイマニ司令官の殺害が発生したみたいなことが報道されたりしたけどナンセンスだ。
それにね、ここからは推測になるけど、イラン側でもソレイマニ司令官を持て余していた節がある。
うさぴょん
うさぴょん
どういうことなんだぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
葬儀の参列者を見てもわかったと思うけど、無茶苦茶英雄視されている上に、戦力としてもピカイチだ。
人望、権力、武力を兼ね備えているから政府に素直に従うわけでもない。
善悪はともかく、疎ましく思う人間は結構いただろう。
それに、中東の大国であるイランを馬鹿にしちゃいけない。
内通者無しに簡単に殺せると考える方が不自然だ。
うさぴょん
うさぴょん
イラン側もグルってことなのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
本当だったとしても、口が裂けても言えないけどな。
表面上は米国とやり合うしかない。
そして、ここまで考えるとトランプが思いつきで選んだ選択肢と言うニュースがめっちゃフェイクに見えてくるんだよね。



ソレイマニ司令官がいなくなったことでイランとアメリカは和解の方向に向かう事が予測されるが…

たぬき先生
たぬき先生
ソレイマニ司令官を殺害した後、イランの側がどんなに強硬なことを言ってきても、トランプ大統領は「戦争をしない」と言い続けているのは事前にそういう密約があるからだと僕は考えている。
逆にイラン側は強硬な事を言ってとりあえず攻撃しないと国民は納得しない。
と言うわけで、ある程度の犠牲者ゼロのドンパチをして収束させようとしていたら、事情を知らない現場が緊張感が高まり過ぎてミスをしてしまった。
うさぴょん
うさぴょん
ウクライナ機の誤爆…
たぬき先生
たぬき先生
なんとも言えない悲しい犠牲なんだが、イランがあっさり誤爆を認めたのも僕の推測通りであれば納得がいく。
うさぴょん
うさぴょん
他の解決策はなかったのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
そもそも、アメリカがイラン核合意から離脱したところからはじまったわけだが、細かいことを言うと僕はこの離脱の部分は必ずしも悪いとは考えていない。
イラン核合意のやり方だと、その意思があれば遅かれ早かれ核兵器を持つことはできるからね。
ただ、それによってアメリカ対イランの構図にしてしまったことが、今回はマイナスに働いたんじゃないかと思うんだよね。
うさぴょん
うさぴょん
アメリカ対イランの構図?
たぬき先生
たぬき先生
そう。
その傾向は実業家時代から強いと思うんだけど、トランプ大統領は、最初期を除いてすべて1対1の構造で外交問題を処理しようとしているようにみえる。
これを決定的にしたのが、習近平に対して北朝鮮の核開発を止めるよう要請した時の失敗だと僕はにらんでいる。
これ以降、トランプ大統領の外交は原則1対1でのやり取りになったような気がする。
本来なら、中国を抑えこむのにヨーロッパや日本とも協調していくべきなのに、メルケルさんとも疎遠だし、日本にガンガン貿易問題で攻めてくる。
中国と派遣戦争している最中にヨーロッパと対立してどうすんねん。
イランに対しても、対アメリカではなく対ヨーロッパ諸国+アメリカならそれほどこじれないんだけど、おそらくその状況での交渉がトランプ大統領は苦手なんだよね。
たぶん、それが問題だ。

投資は自己責任。

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