リバランスとは、相場変動などで変化した投資配分比率を見直し、値上がりした資産・銘柄を売り、値下がりをした資産・銘柄を買い増す、などによって、ポートフォリオの構成を最初と同じ比率に修正していく手法のことを指します。
バランス型の投資信託で良く使われますし、個別銘柄に長期投資をしている投資家もさまざまな形で意識しています。
ところが、リバランスの効果を正確に把握している人は少ないようですね。
でも、安心して下さい。
あなたが理解すべきリバランスの効果(メリット、デメリット)は以下の3つだけです。
- 短期的な価格の安定と利益がちょっと増える効果
- 長期的に利益が減る効果(性質の異なるアセットクラス(※1)間でのリバランス)
- 長期的に利益が増える効果(同一アセットクラス(※1)間でのリバランス)
※1 アセットクラスとは資産の種類や分類のことです。(例:株式、債券、金など)
もっとも大切なのは、1の効果の使いどころと、2と3のようにリバランスのやり方によって全く逆の効果を持つことを理解することです。
これらをわかりやすく徹底解説していきましょう。
リバランスが短期的な価格の安定と利益がちょっと増える効果をもたらす仕組み
リバランスの本質を一言にまとめてみましょう。
「高くなった資産を売って、安くなった資産を買う」
ポートフォリオ内で保有比率が高くなると言うのは、即ち相対的に高くなったと言う事。
一方、保有比率が低くなると言うのは、即ち相対的に安くなったと言うことです。
安く買って、高く売る。
まさに投資の王道ですね。
これにより、ポートフォリオ全体の価格の安定と多少の利益の拡大をもたらします。
安く買って、高く売るのに利益の拡大が多少にとどまることには理由があります。
リバランスの頻度にもよりますが、高くなる資産は多くの場合、一定期間は高くなり続ける傾向がありますが、リバランスのために途中で売ってしまうと利益を最大化できないからです。
つまり、効果としては、価格の安定が第一で、その次が多少の利益拡大となります。
そして、この性質がもっとも適しているのは、近いうちに使う可能性のある資産を一時的に預る場合です。
僕の場合は、そういう場合はそもそも価格変動が少ない債券のようなアセットクラスにお金を預けた方が費用対効果は高いと思いますが、否定はしません。
金融機関や証券会社で説明されるのはここまででしょう。
しかし、長期的な利回りの話になると、ちょっと話が変わってきます。
リバランスが長期的に利益を減らす効果をもたらす仕組み
リバランスによって、長期的な利益が大きく減らす現象は、実際に複数のアセットクラス(資産の種類)に投資していると実感できます。
具体的な例を挙げると、株式と債券がその代表です。
適切に選定された株式と債券を一定の価格非違率で購入すると、株式の構成比率がどんどん増えて行きます。
これは、株式の方が価格の上昇率が高いからです。
株式は短期の変動リスクが債券より高いため、短期的な価格安定を求めるならここで株式の構成比率を減らすためのリバランスが必要になります。
しかし、それをやると長期的な利益が減ります。
多くの場合、激減すると言って良いでしょう。
なぜなら、10年、20年の長期で見た場合、株式のリターンがあらゆるアセットクラスの中でもっとも高いからです。
これについては、以下の記事で説明したので、良かったらご覧ください。
▼長期投資で株が最強な理由とは? シーゲルの「株式投資」
つまり、長期投資が目的の場合、株式と債券のアセットクラス(資産の種類)間のリバランスをすることで、結果的に株式が長期的な値上げ効果を出す前に、その多くを売ってしまうことで得られるはずだった利益の大半を失ってしまうと言うマイナスの効果があるわけです。
しかし、使い方によっては、長期投資においてリバランスでプラスの効果を出すことも可能です。
リバランスが長期的に利益を増やす効果をもたらす仕組み
では、リバランスによって長期的な利益を増やすにはどうすれば良いでしょうか?
それは、同一アセットクラス間でのリバランスをすることです。
しかも、比率の増えた資産を売らずに、比率の減った資産のみを追加購入することで対処するのがベストです。
10年、20年の長期運用を考えた場合、株式のアセットクラス(資産の種類)が最強であることはすでにお伝えしました。
詳しく知りたい方は、そこで紹介した以下の記事をご覧ください。
▼長期投資で株が最強な理由とは? シーゲルの「株式投資」
なので、ここでは株式を前提に話を進めます。
投資における株式の性質は、2つあります。
長期的な利益の高さと短期的な価格変動率の高さです。
そして、投資家は値上がり率のコントロールはできませんが、購入価格や手数料などのコストのコントロールはできます。
つまり、長期投資のための株式投資の銘柄選定が適切になされているのであれば、もっとも値段が下がった銘柄を買うのが合理的です。
ここで重要なのは、長期投資のための株式投資の銘柄選定が適切になされていると言うことです。
これが、適切になされていないと、株価が下がったままで復活しないことも充分あり得ますし、そんな株に追加購入の価値などありません。
これについては、以下の記事にわかりやすく書いたので、良かったらご覧ください。
▼バフェットの銘柄選び実践のポイントを日本のサラリーマン視点で徹底解説
また、コストを最低限に抑えるためには、高くなった株式を売らずに、安くなった株式を買う事のみによって構成比率を調整するのが合理的です。
高くなった株式を売る場合、売買手数料のみならず収益の約20%に税金がかかります。
そして、その目減りしたお金で再投資をすることになるのです。
つまり、多少ポートフォリオがいびつでも、高くなった株式はそのままで、安くなった株式を追加購入することでリバランスする方が費用対効果は高いと言わざるを得ません。
また、高くなった株式が、その後安くなるか高くなるかは短期的には予測不能です。
安定した周期性のある逆相関の銘柄間でのリバランスを前提とすると、積極的なリバランスで収益は向上しますが、現実の市場は理想の動きはしません。
数年間、ある銘柄がまったく下がらないことも良くあります。
このような理由で、追加購入限定のリバランスをおすすめしています。
投資は自己責任。
リスク管理を徹底して楽しみましょう。