MMT理論を簡単にわかりやすく【5】仮想通貨の今後は主権通貨論でまるわかり ~たぬき先生とうさぴょんの楽々経済教室~

MMT(現代貨幣理論)では、お金の価値は人が生活するための国家サービスが支えている?

仮想通貨にはこれがないからお金にはなり得ない?

むしろ、貴金属と似た動きをしやすい?

たぬき先生が、これらの疑問に次々と答えて行きます。

仮想通貨は信用創造ができない仕組みになっている

うさぴょん
うさぴょん
最近、友だちが仮想通貨への投資をはじめたんだけど、仮想通貨って普通のお金と何が違うのか教えて欲しいぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
仮想通貨はお金じゃないよ。
お金よりもむしろ金などの貴金属に近いよ。
うさぴょん
うさぴょん
えっ?
通貨って言うからお金じゃないのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
まったく違うね。
まず、第一に仮想通貨では信用創造ができない。
国家が発行しているお金って言うのは銀行の信用創造によって発行済みのお金以上に増やすことができる。
これは、お金をタダの量として扱うことができるから可能なんだ。
うさぴょん
うさぴょん
仮想通貨は違うのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
仮想通貨では、発行した仮想通貨がウォレット、つまり電子的な財布と結び付いている。
そして、自分のウォレットと結び付いていない仮想通貨を使うことはできない。
うさぴょん
うさぴょん
ちょっと待ってぴょん。
普通のお金だって、持っていないお金は使えないぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
現金はそうだけど、預金は万年筆マネーと言ってゼロから創造できる。
だれかが1千万円借りたら、貸出債権を持つ一方で、その人の預金に数字を書き込むだけだからね。
このあたりの仕組みは「MMT理論を簡単にわかりやすく【2】お金の本質と信用創造の真実」で詳しく話したよね。
仮想通貨はこの信用創造の仕組みを、おそらく意図的に使えないようにした通貨なんだ。
できるのは、仮想通貨を渡すか貰うかマイニングで発掘するかだからね。
うさぴょん
うさぴょん
マイニングで増える以外は、常に一定の量しか無いってことなのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
その通り。



主権通貨になり得ない仮想通貨

たぬき先生
たぬき先生
そして、仮想通貨は国家サービスと結び付いていないので、主権通貨になれないんだ。
うさぴょん
うさぴょん
主権通貨って何だぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
簡単に言うと、国が発行している、国のサービスを受けるために必要な租税の徴収に使われる通貨だね。
国民は、その国に住み安全保障や治安維持、その他の公共サービスを受けるためには、限り租税を収める義務がある。
そのため、国民はその通貨を得る必要があるので、その国では国が発行している通貨が使われる。
これが、租税がその国の主権通貨を裏付けているということなんだ。
うさぴょん
うさぴょん
でも、自分で発行して、それで対価を払えって、なんかマッチポンプみたいだぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
実際、主権通貨の実態はマッチポンプだよ。
倫理的な感覚にマッチしにくいので、多くの人は認めたがらないけどね。
そして、マッチポンプ自体が悪い訳じゃない。
それがマッチポンプであることを自覚して、その長所を生かし短所を補う使い方をすることが重要なんだ。
うさぴょん
うさぴょん
どういうことだぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
マッチポンプであると言うことは、いくらでも通貨を発行する権利を持っているということ。
これが長所だ。
だからと言って、国の供給能力を無制限に使いすぎると、国の経済を破壊してしまう。
これが短所だね。
うさぴょん
うさぴょん
でも、仮想通貨はそうじゃないのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
そう。
だから、仮想通貨を使う義務は誰にも無いし、国みたいなものが自由に発行できるわけでもない。
単純に需要と供給できまる。
うさぴょん
うさぴょん
でも、普通の通貨も需要と供給で為替レートが決まるんじゃないのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
確かにその面はあるが、普通の通貨=主権通貨は国力と言う裏付けがあるところが違う。
なので、適正な供給能力や国力を持つ国の通の為替変動は、仮想通貨ほど極端には動かない。
うさぴょん
うさぴょん
ふーん、だから金などの貴金属に近いと言う訳なのかぴょん。



貴金属と仮想通貨の違い

たぬき先生
たぬき先生
そうなのだけど、厳密に言うと金などの貴金属とも違う面があるんだ。
うさぴょん
うさぴょん
どういうところが違うのかぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
一番大きな違いは、匿名による送金コストがかんたんなことだね。
仮想通貨はウォレットにひもづけられているんだけど、ウォレットから個人へのひもづけは必ずしもできない仕組みになっている。
治安の悪い国でアングラ業者を使って一時的なウォレットを使えば、その後はまったく追えなくなる。
ヤバい金の国際移動なんて超簡単だ。
つまり、アングラマネーが相当入っているからその分リスクは高まる。
素人はあまり手を出さない方が良いと思う。
因みに、普通の国際送金では手数料がかかるし、誰が誰に送ったかが名義レベルですぐわかる。
うさぴょん
うさぴょん
金とかはどうなんだぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
金などは延べ棒か金貨か装飾品にして国際移動をすることが可能だけど。
検閲を避けなければならない。
ところが、仮想通貨は電子的にも遅れるし、ハードウォレットと言って持ち運び可能な状態で物理的に運ぶことも可能。
アングラマネーが大量に入ってくるのも当然だね。
ついでに言えば、貴金属は装飾品に加工した商品にもなるし、かなり長い歴史を持っている。
そういう意味での安定感も仮想通貨は少ない。
逆に言うと高リスク高リターンを狙えるかもしれないけどね。

投資は自己責任。

リスク管理を徹底して楽しみましょう。