MMT理論を簡単にわかりやすく【4】JGPは金融政策へのカウンターパンチ ~たぬき先生とうさぴょんの楽々経済教室~

「MMT(現代貨幣理論)のJGP(Job Garantee Program:就労保障プログラム)って言うのは、別に貧困層を救うのが目的じゃない。

これは、金融政策へのカウンターパンチなんだ」

うさぴょんの質問に対して、またもや意外な答えが返ってきた。

たぬき先生の白熱講義は続く。

MMT(現代貨幣理論)のJGP(Job Garantee Program:就労保障プログラム)の本質は金融政策へのカウンターパンチ

うさぴょん
うさぴょん
MMT(現代貨幣理論)の中でJGP(Job Garantee Program:就労保障プログラム)てのが唐突にでてくるのが、ちょっとわからないだぴょん。
なぜ、唐突に貧困層の救済の仕組みがでてくるんだぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
MMT(現代貨幣理論)のJGP(Job Garantee Program:就労保障プログラム)って言うのは、別に貧困層を救うのが目的じゃない。
これは、金融政策へのカウンターパンチなんだ。
うさぴょん
うさぴょん
どいういう事ぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
MMT(現代貨幣理論)自体は、一つの国家に限った理論ではない。
ただ、現時点では主に米国で発達した理論なんだ。
なので、時に米国の国内事情のバイアスがかかることがある。
うさぴょん
うさぴょん
米国の国内事情?
たぬき先生
たぬき先生
ズバリ、FRB(連邦準備制度理事会)、米国の中央銀行制度だ。
うさぴょん
うさぴょん
FRBって連邦準備銀行の略じゃないのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
それも正しい。
どちらも略称がFRBなんだ。
2019年10月現在だと、パウエル議長が在籍する連邦準備制度理事会が方針を決定して、各都市にあるそれぞれの連邦準備銀行がそれを実行するって感じかな。
米国は州に別れているから、日本のように一つの中央銀行が存在するってわけじゃないんだ。
それをまとめているのが、FRB(連邦準備制度理事会)てわけ。
よくニュースで「FRBの○○議長が…」って場合はFRB(連邦準備制度理事会)の方を指す。
うさぴょん
うさぴょん
で、そのFRB(連邦準備制度理事会)が、JGP(Job Garantee Program:就労保障プログラム)とどう関係するぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
カギはFRB(連邦準備制度理事会)の目的だ。
うさぴょん
うさぴょん
どういうことぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
FRB(連邦準備制度理事会)の目的は連邦準備法(Federal Reserve Act)のセクション2Aで規定されている。
米国の金融に詳しい人なら常識なんだけど、その【具体的な】目的は【雇用の確保】と物価の安定、適切な長期金利の維持なんだ。
うさぴょん
うさぴょん
日本の場合は違うのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
日本の場合は日銀法の第一条で概念的な目的が書かれていて、第二条で具体的にどうするかが書かれているね。
結論から言うと、物価の安定だ。
ウラを返すと、金融を常に引き締めとけと言っている。
うさぴょん
うさぴょん
それじゃ、経済が成長しないんじゃ…
たぬき先生
たぬき先生
まあ、そうなんだけど、敗戦後はある事情で憲法や財政法を皮切りに、財務省設置法など色々な法令に緊縮財政のアミが張られたから仕方がない。
この条文があるから黒田総裁以前は大規模な金融緩和をしなかった面もある。
極端なインフレを招かなければこの条文に違反したことにならないので、金融緩和自体は問題無いんだけどね。
MMT(現代貨幣理論)とは関係ないので、これについては、別の機会に話すよ。
うさぴょん
うさぴょん
了解だぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
で、FRB(連邦準備制度理事会)の目的に【雇用の確保】が挙げられていると言うことは、どういうことかな?
うさぴょん
うさぴょん
わからんぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
即答かよ!
つまり、【雇用の確保】はFRB(連邦準備制度理事会)が金融政策で解決すべきだということだ。
言い換えると、米国では【雇用の確保】は金融政策で解決するのがテンプレなんだわ。
ケースバイケースで財政政策も実施するけど、メインは金融政策。
うさぴょん
うさぴょん
すると、JGP(Job Garantee Program:就労保障プログラム)って言うのは、【雇用の確保】を財政政策側に引き戻すということを提案しているってことなのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
その、とおり!
今日は冴えてるな。



日本にはあまり合わない可能性があるMMT(現代貨幣理論)のJGP(Job Garantee Program:就労保障プログラム)

たぬき先生
たぬき先生
そうなんだ。
3つの理由で日本にはそれほど向かない可能性がある。
1つ目は、日銀の目的に【雇用の安定】は含まれていないこと。
2つ目は、いまだに終身雇用制度が根強い企業が存在すること。
ちなみに僕は、日本の文化と国土環境を考えると、終身雇用制度は良いことだと考えている。
そして、3つ目は、少子高齢化による労働人口の減少だ。
これにより、日本ではデフレにも関わらず、失業率は低くなっている。
うさぴょん
うさぴょん
デフレで失業率が低くなるってことは、そんなに不自然なことなのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
そうだね。
デフレとはそもそも需要が供給能力より少ないと言うことだから、労働者の解雇が進むのが普通なんだ。
しかし、現在の日本の場合、少子高齢化によって、全人口の中の労働者人口が減っている。
つまり、就職先より労働者の方が急激に減少しているってこと。
そのおかげで失業率は低く保たれているんだね。
だから、JGP(Job Garantee Program:就労保障プログラム)に求められている自動安定化装置の機能は累進課税に重きを置いた方が良いと思う。
ただ、限定的にJGP(Job Garantee Program:就労保障プログラム)を使うのは賛成だけどね。
うさぴょん
うさぴょん
累進課税ってことは、お金持ちからたくさん取るってことなのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
そういう面はあるけど、MMT(現代貨幣理論)での考え方はちょっと違う。
お金持ちから取ると言うより、景気の良い時に税収を増やして景気の過熱を防ぎ、景気が悪くなったら税収を減らし景気を刺激するのが目的だ。
貧富の差を減らすなどというのは政治の話で、MMT(現代貨幣理論)はそこには触れない。
飽くまでも、経済理論の一つと言うスタンスだ。
そこを切り離さないと、道具として使いにくくなってしまうんだよ。

投資は自己責任。

リスク管理を徹底して楽しみましょう。