MMT理論を簡単にわかりやすく【2】お金の本質と信用創造の真実 ~たぬき先生とうさぴょんの楽々経済教室~

「お金の本質は借用証書なんだ。これからそれを証明しよう。」

たぬき先生はお金の本質を語りはじめた。

それを聴いている内にうさぴょんは、お金がゼロから創られる仕組みを理解するのだった。

MMT(現代貨幣理論)ではお金の本質を借用証書であると見ぬいていた

たぬき先生
たぬき先生
うさぴょんは、お金がどういう風に成り立ったかは知っているかな?
うさぴょん
うさぴょん
物々交換をしているうちに、交換用に便利なものとしてお金ができたんだぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
違うな。
お金の本質は借用証書なんだ。
これからそれを証明しよう。
うさぴょん
うさぴょん
えっ?
どう言うことぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
まず第一に、うさぴょんは物々交換と言ったけど、そう簡単に等価交換できるものをお互いに持ち合わせていると思うか?
そもそも、一目で等価交換だとわかるようなモノ同士なら交換する必要なんて無くないか?
等価交換する必要が絶対的にあるのは、等価交換すべきモノを持っているタイミングに時差がある時だ。
つまり、Aさんが困っている時にBさんからゆずってもらい、Bさんが困っている時にAさんがゆずる。
人類の集団行動のはじまりだ。
うさぴょん
うさぴょん
そんな風には習わなかったぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
しかしだな、現代の考古学的な研究では初期の頃の通貨の起源は貸し借りの記録だと言われているんだ。
うさぴょん
うさぴょん
そうなのか。
でも、急にそんなことを言われても戸惑うぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
じゃあ、ちょっと説明の仕方を変えるよ。
お金の誕生の瞬間を考えてみようじゃないか。
うさぴょん
うさぴょん
わかったぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
その時代はお金が無い。
最初のお金として仮に貝殻を使ったとしよう。
Aさんは肉100グラムを持っている。
そしてAさんが、Bさんにその肉をゆずる。
Bさんは、Aさんにその見返りの貝殻をわたす。
その貝殻にはこう書かれている「Bは肉100グラムを確かに受取った」と。
最初のお金の出来上がりだ。
超原始的だけどね。
Bさんに肉100グラムを持っている時にAさんがその貝殻を渡せばBさんは肉100グラムを受取れる。
さらにこの貝殻をCさんに渡せばCさんがBさんから肉100グラムを受取れる。
うさぴょん
うさぴょん
ふむふむ。
たぬき先生
たぬき先生
ここで質問。
「Bは肉100グラムを確かに受取った」と書かれた紙があるとする。
こう言うモノを普通どう呼ぶ?
借用書と言わないか?
うさぴょん
うさぴょん
確かに…そうなんだぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
つまり、お金の本質は借用証書なのだ。
そして、ここでもう一つの質問をしよう。
さっきの貝殻のお金は何をした時に生まれたのかな?
うさぴょん
うさぴょん
BさんがAさんから肉を借りた時だぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
そうだね。
つまり、お金は誰かが何かを借りた時に生まれるんだ。
何故なら、お金は借用証書なんだから。
うさぴょん
うさぴょん
でも、例えばここにある千円札は借用証書じゃないんだぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
いやいや、千円札は日銀の借用証書だよ。
うさぴょん
うさぴょん
じゃあ、昔あった金貨とかは?
たぬき先生
たぬき先生
金貨もその国や国王が発行した借用証書の一種なんだ。
そもそも金貨を使っていた時期は、現代のような盤石な国家制度ではなかったので、権威を示すために貨幣に金を使ったんだ。
その金貨を削ってせこい利益を得ようとした小悪党がいたから、重さを量ったりなんだりとまるで金そのものが貨幣の価値であるような扱いを受けたりもしたけどね。
国家制度が整っていくに従って、紙幣が誕生したのは当然の成り行きだね。
紙を削っても何も儲けられないからね。
うさぴょん
うさぴょん
じゃあ、金が通貨の役割をしたことは無いのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
例外はあるよ。
中世のヨーロッパでは外国の傭兵を雇うことが少なくなかった。
その時、自国の通貨を払っても意味が無かった。
だって、その国の国王が発行したお金を、別の国王が支配している国で使えないからね。
そういう時に、金で支払うということがあった。
金貨の額面とかじゃなく、純粋な金の重さで価値が計られていたわけだ。
この場合、通貨というより、各国共通で換金できる商品と言う位置づけだね。



MMT(現代貨幣理論)が説く信用創造の真実

うさぴょん
うさぴょん
こうなってくると信用創造ってのもだんだんわからなくなってきたぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
うさぴょんが習ってきた信用創造って説明できるかな?
うさぴょん
うさぴょん
ある人が銀行に1000円預けて、銀行の残高が1000円。
別の人がそこから900円を借りて銀行に預けると、銀行の残高は1900円。
さらに別の人が900円から800円を借りて銀行に預けると、銀行の残高は2700円。
こんな感じだけど…
たぬき先生
たぬき先生
うさぴょんが想像している通り、それは間違っている。
元手は要らない。
Aさんが銀行から1000円を借りて、それを銀行に預けると、銀行の残高は1000円。
次にBさんが銀行から2000円を借りて、それを銀行に預けると、銀行の残高は3000円。
誰かが借金をするだけで、銀行の残高はゼロから預金残高を作り出せるんだ。
昔は、銀行の行員が万年筆で書くだけで預金が生まれたことから、これを万年筆マネーと呼ぶ人がいます。
今は、コンピューターでキーボードを叩くだけでお金が生み出せるね。
因みに、通貨発行権がある日銀なら、Aさんが引きだいたいと言えば日本銀行券と言う借用証書を印刷して渡せば良い。
うさぴょん
うさぴょん
でも、準備預金制度だっけ?
民間の銀行は預金額の一定割合を日銀当座預金や準備預り金として持っているはずだと思うんだぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
勉強しているね。
勿論そうだ。
理論的には一切お金や当座預金を持っていなくても銀行業務はできるんだけど、さすがにそれじゃ危険だと言うわけで制度的な規制をかけているわけだよ。
銀行の感覚としては、信用があって借りてくれる人が居れば瞬時に預金はゼロから作り出せる。
けれど、準備預金制度があるからその範囲内を単に上限にしているだけ。
因みに、今は不景気だからお金を借りてくれる人は少ないよね。
だから、いくら日銀当座預金にたくさんお金があっても、貸す先が無いんだよね。
むしろ、景気が悪いから借金を返す人が増える。
そうすると、銀行の預金額はどんどん減って行っちゃうんだよね。
うさぴょん
うさぴょん
なんかズルいんだぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
ズルいかもしれないけれど、それが現代の銀行制度なんだ。
信用創造って英語ではmoney creationと言うのが一般的なんだけど、まさにゼロからお金を創造すると言うイメージに近いよね。

投資は自己責任。

リスク管理を徹底して楽しみましょう。