MMT理論を簡単にわかりやすく【1】政府はお金をいくらでも使えるの? ~たぬき先生とうさぴょんの楽々経済教室~

MMTと言う理論では、政府はいくらでもお金を使えると聞いておどろいたうさぴょんは、たぬき先生にMMTについて教えてもらいに来た。

ところが、たぬき先生によると、それはウソらしい。

では、MMT(現代貨幣理論)では、本当はどう言っているのだろうか?

たぬき先生は、話を続けるのだった。

MMT(現代貨幣理論)では政府はいくらでお金を使えると言うのはウソ

うさぴょん
うさぴょん
MMT(現代貨幣理論)では、政府はいくらでもお金を使えるって聞いたんだけど…
たぬき先生
たぬき先生
ああ、それはウソ。
耳にタコが出来る程聞くウソだね。
うさぴょん
うさぴょん
えっ?
ウソってどういうことぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
現代の主流派経済学とMMT(現代貨幣理論)では、予算制約の基準が違うだけで、どちらにも予算制約があるんだよ。
経済状況によってはMMT(現代貨幣理論)の方が予算制約が厳しい場合もあるしね。
うさぴょん
うさぴょん
その制約の違いって何なんだぴょん?



MMT(現代貨幣理論)と主流派経済学の制約の違いとは?

たぬき先生
たぬき先生
主流派経済学の制約って言うのは財政的な予算制約。
いわゆるプライマリーバランスを守って財政赤字を許さないってやつだね。
うさぴょん
うさぴょん
MMT(現代貨幣理論)の場合の制約って何なんだぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
MMT(現代貨幣理論)の場合の予算制約は、国家全体の供給能力なんだ。
学術的には資源(リソース)と言う言葉が使われる。
人的リソースとか言う時の生産力としての資源(リソース)だね。
うさぴょん
うさぴょん
供給能力って言われてもちょっとイメージしにくいんだぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
インフレを基準にすると言っても良い。
うさぴょん
うさぴょん
インフレと供給能力って関係あるのかぴょん?



MMT(現代貨幣理論)で考えるインフレのメカニズム

たぬき先生
たぬき先生
インフレってなぜ起きると思う?
うさぴょん
うさぴょん
インフレはお金を政府が大量に発行して起こるんだぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
それは、違うね。
事実アベノミクスでは大量に政府がお金を発行しているがまったくインフレになっていないだろう?
正確に言うと、日銀が民間銀行から大量に国債を買い取って、民間銀行の日銀当座預金を激増させたんだけど。
うさぴょん
うさぴょん
日銀当座預金って何だぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
日銀当座預金と言うのは、財務省と民間銀行のみが日銀に持っている当座預金で、必要であればいつでも当座預金と引き換えに日銀に現金を発行してもらえるんだ。
つまり、日銀当座預金は実質的に、政府が発行する現金と同じだと思って良い。
だから、政府が発行しているお金はふつう、発行済みの現金+日銀当座預金の合計であらわされるんだ。
マネタリーベースとかハイパワードマネーとか言うのがこれだね。
うさぴょん
うさぴょん
マネタリーベース…
たぬき先生
たぬき先生
いや、今はそういう横文字は覚えなくて良いよ。
で、アベノミクスで日銀がやったのは民間銀行から日本国債を購入することで、民間銀行に大量の日銀当座預金を作り出したってわけだ。
うさぴょん
うさぴょん
作り出したって、まるでゼロから作り出したみたいな言い方だぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
まさにその通りだよ。
日銀は日本国債を購入するのに何かを支払ったわけじゃなくて、単純に日銀当座預金にキーボードで金額を叩いただけなんだけど…
この件については、別の機会に説明しよう。
ここでは政府が事実上お金を大量に発行した事をわかってもらえれば良い。
日銀の発表しているデータでは政府が発行しているお金(マネタリーベース)はアベノミクスが開始された2012年12月は約131兆円で、2019年9月は約512兆円(双方とも季節調整済の値)。
約4倍になっているのにインフレになっていない。
うさぴょん
うさぴょん
えっ?
どういうことぴょん?
おかしいぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
お金は貯めることもできるし、使わないと言う選択もできる。
不況なのに誰が使うかって話だ。
ざっくり言うとね。
このあたりも、もっと高度な解説もできるけれど、これも別に機会のお楽しみだ。
うさぴょん
うさぴょん
じゃあ、インフレってどういう時に起きるんだぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
需要が供給能力を上回る時だよ。
それ以外にない。
必要なモノを自国で作るための生産力(供給能力)がない。
これが、極端な状態になった時にハイパーインフレが発生する。
調べてみれば例外は無いことがわかるはずだよ。
うさぴょん
うさぴょん
それが、インフレと供給能力の関係ってことなのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
その通り。
だから、MMT(現代貨幣理論)では、供給能力を見ながら需要を調整しようとするんだ。
それによって、デフレを打開し、極端なインフレも防ぐ。
うさぴょん
うさぴょん
えっ?
MMT(現代貨幣理論)ってお金をたくさん使うだけの理論だと思っていたぴょん。
でも、供給能力なんてどうやって計算するんだぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
正確に把握するのは難しいだろう。
ただ、インフレターゲットを設定していれば実用レベルの推定は可能だ。
前年度のインフレ率とGDPがわかれば、追加または削減すべき比率をGDPに掛け合わせれば、需要をどれだけ変更すれば良いかがわかる。
それに従って、政府支出を変えればインフレ率はコントロールできる。
うさぴょん
うさぴょん
でも、それって難しくないのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
すべてを政府支出でコントロールしようとすれば難しい。
けれど、MMT(現代貨幣理論)ではいくつかの自動安定化装置(ビルトインスタビライザー)が組み込まれている。
一つは、景気変動と逆の動きをする累進性のある税制。
もう一つは、JBT(ジョブ・ギャランティー・プログラム)だ。
これらについては、別の機会に説明しよう。
今回は、MMT(現代貨幣理論)では、政府が無制限にお金を使って良いわけじゃないことが分かってもらえれば良い。
因みに、この考え方を機能的財政論と言うんだ。

投資は自己責任。

リスク管理を徹底して楽しみましょう。