【新型コロナ】緊急事態宣言で日本と世界の経済、そして投資はどうなる? 財務省と内閣府の公開資料で暴く108兆円経済対策の真実 ~たぬき先生とうさぴょんの楽々経済教室~

4月8日(水)、日本政府は緊急事態宣言を発令し、各自治体は対応を開始しました。

この緊急事態宣言、そして政府の経済対策で、日本の経済はどうなるのか?

財務省と内閣府の公開資料で暴く108兆円経済対策の真実とは?

そして、世界の経済の動向は?

たぬき先生が解説します。

【新型コロナ】緊急事態宣言の効果はどれだけあるのか?

うさぴょん
うさぴょん
緊急事態宣言をしても強制力が無いから効果が無いと言う人もいるけど、どうなんだぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
強制力の有無はあまり関係ないと思うぞ。
実際、諸外国でも罰金は数千円程度だったりするしね。
それに、日本人は真面目だから、要請でも出来るだけ守ろうとする。
真の問題は強制力ではない。
うさぴょん
うさぴょん
他に真の問題があると言うことなのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
経済的な補償だね。
象徴的なのがK-1のイベントだ。
経済的な補償なしで中止を要請されたけど、イベントを自社都合で中止したら普通に考えて数億円の損失になると思う。
運営しているのは株式会社M-1スポーツメディアって会社で、従業員15人、資本金1憶6600万円の会社だ。
下手したらつぶれるし、誰かが首を吊る羽目になってもおかしくない。
中止したら首を吊る羽目になるなら、感染対策を充分にしてイベントをやるしか無いではないか。
うさぴょん
うさぴょん
そんな事情が…
たぬき先生
たぬき先生
だから、緊急事態宣言の効果は法的強制力の問題ではなく、経済的補償の有無だと言える。
そうしないと、日本人の場合、要請に素直に応えた結果首を吊るか、死ぬより逆らうことを選ぶしかない。
うさぴょん
うさぴょん
「日本人の場合」って、どういう意味なんだぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
コロナショックで米国で銃の売り上げた伸びたニュースは覚えているかな?
うさぴょん
うさぴょん
覚えているぴょん。
理由が良くわからないんだけど…
たぬき先生
たぬき先生
欧米の場合、選択肢はもう一つあって、他人を襲って生き延びるんだ。
なんと言っても狩猟民族だからね。
それを予測して、多くの人が自衛のために銃を準備したし、政府も急いでお金をばらまいた。
だから、僕は普段から「格差を広げ過ぎちゃいけない」と言っているんだ。
緊急事態になった時、格差を広げ過ぎていると、同じ国民の間で争いがおきてしまうんだ。
うさぴょん
うさぴょん
日本の場合は、欧米ほど暴力的じゃないから大丈夫なんじゃないのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
個人ではそうなんだけど、誤った資本主義政策で苦しい状況が続くと、貧困層は共産主義に傾いて革命を目指す傾向がある。
資本主義が悪いのではなく、弱者を完全に切り捨てる誤った資本主義が悪いのだけどね。
まあ、そんなわけだから「休日出歩かない」とか、営業しても利益が出ない店舗を休業するとか、経済的な損失が少ない事に対しては多くの国民が従うと思う。
あと、大企業はCSRの観点から協力するだろうしね。
それに、生き残るための融資の仕組みとかもあるからなんとか活用して欲しいね。
うさぴょん
うさぴょん
じゃあ、日本人は概ね従おうとするけど、経済的に無理なものは従わない可能性が高いと言うことなのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
従わないと言うより、従えないと言う方が正確かな。
休日に出歩く人は減っても、通勤する人はそれほど減らないのはそういうことだ。



【新型コロナ】108兆円の経済対策の真実

うさぴょん
うさぴょん
でも、日本でも108兆円の経済対策が打たれていると言われているんだぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
108兆円は言い過ぎなんだよね。
事業規模って言っているだろ。
ここ数年、安倍政権と財務省とどちらが主導か知らないけど、実際の財政支出の額をごまかしている。
うさぴょん
うさぴょん
いや、だって政府が言っていることなんだぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
政府が、事業規模と財政支出は違うと公式に言っているんだ。
証拠を出そう。
以下の画像は、令和2年4月7日の閣議決定の概要説明資料だ。
内閣府のページで見ることができる。
下の赤線で囲んだ部分を見てほしい。
財政支出と事業規模が別物だってわかるはずだ。

うさぴょん
うさぴょん
本当だ…
たぬき先生
たぬき先生
事業規模は約108.2兆円だけど、実際の財政支出は約39.5兆円。
事業規模ってのは民間に出させる分や出すであろう分も計上されている。
想定される経済効果を加算した値だと考えて良い。
うさぴょん
うさぴょん
なんかいい加減な感じがするんだぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
まあ、敢えて弁護すると主流派経済学の考え方を進めるとこうなるのも仕方がない。
主流派経済学では財政政策による景気刺激策を否定しているんだ。
なので、財政支出は最低限に抑えて、民間で勝手に経済を活発にして欲しい。
だから、プライマリーバランスにこだわるんだ。
そして、この壮大な実験を実体経済で実践し続けたのが日本とEUだけど、結果を見ればそれは間違いであることが明らかになってしまった。
机上ではうまく行くはずだったのに、実体経済では上手く行かなかったんだ。
うさぴょん
うさぴょん
じゃあ、やめれば良いんだぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
う~ん。
そりゃ、難しい。
地位も力もある大人が「国の政策間違いでした。てへっ!」てワケには行かないでしょ?
それに、この政策、グローバル企業や強者にとっては都合が良かったりするんだわ。
弱肉強食を推進するからね。
うさぴょん
うさぴょん
いや、かなり怖いんだぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
取り合えず、閣議決定の図に戻ろう。
事業規模は約108.2兆円だけど、実際の財政支出は約39.5兆円。
ここまでは良いね?
うさぴょん
うさぴょん
らじゃ、だぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
しかし、この内訳も色々水増しされている。
まず、総合経済対策1の約9.8兆円についてだが、これは昨年度の予算のうち今年度も経済効果が継続すると考えられるものだ。
つまり、コロナ対策とはまったく関係ない。
うさぴょん
うさぴょん
へっ?
たぬき先生
たぬき先生
次に、緊急対応策第1弾、第2弾の約0.5兆円だが、これも昨年度の予算。
昨年度は補正予算を組んでいないので、昨年度予算の予備費の0.5兆円をそのまま使ったものと思われる。
コロナ対策用の費用ではあるけど、元々の予算の範囲なので、あまり経済効果は期待できない。
うさぴょん
うさぴょん
じゃあ、新たな追加分の約29.2兆円が実際の追加対策なのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
それもちょっと違う。
約29.2兆円のうち、約12.4兆円は、もともと今年度予算に組み込まれていたものでコロナ対策とは無関係。
うさぴょん
うさぴょん
ほえ~。
たぬき先生
たぬき先生
したがって、実際にコロナ対策として計上されたのは約16.8兆円。
これが、今年度の補正予算だ。
概要を以下に示そう。
これは財務省のページで見ることができる。

うさぴょん
うさぴょん
色々書いてあるけど、給付金はどこを見ればいいのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
「(2)雇用の維持と事業の継続」の3~5番目の「~給付金」と書いてある項目だね。
合計すると約6.5兆円になる。
うさぴょん
うさぴょん
えっ?
給付金ってそれだけなのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
そうだね。
この約6.5兆円が即効性のある経済対策になるけど、日本の名目GDPが約550兆円に対して約1.2%程度だから、コロナショック対策としては少な過ぎるように見える。
そうは言っても、「(4)強靭な経済構造の構築」にはちょっと期待している。
うさぴょん
うさぴょん
どういうことだぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
もっと詳しい資料を見るとわかるんだけど、これは特定の国だけに頼る脆弱なサプライチェーンから脱却するための政策だ。
特定の国ってのは、ぶっちゃけあの国しか考えられないけどね。
うさぴょん
うさぴょん
最後の「2.国債整理基金特別会計へ繰入」って何なんだぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
それを説明するために、まずはこの補正予算の損益計算書を見せよう。

たぬき先生
たぬき先生
歳入、つまり財源が公債になっているね。
建設公債って言うのが建設国債。
財政法第4条に基づいているので、4条国債と呼ばれることも多い。
原則として、後世まで残る公共事業や効果が出資金、貸付金に使えるんだ。
要は、土地や設備、長期貸付金など固定資産として計上されるものと考えて良い。
一方、特例公債と言うのが特例国債。
一般的には赤字国債と言った方がわかりやすいかな。
これは、議会で特別な法律を作らないと発行できないんだ。
うさぴょん
うさぴょん
それは、わかったけど、それとさっきの「2.国債整理基金特別会計へ繰入」って、どういう関係があるんだぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
国債整理基金特別会計と言うのは、国債の償還や利払い等の費用やその他の用途で使われる財源だと思ってくれれば良い。
細かい事を言うと色々やっているので、説明が結構ややこしくなる。
うさぴょん
うさぴょん
了解だぴょん。



【新型コロナ】世界の経済動向

たぬき先生
たぬき先生
最初に確認しておくべきことは、世界の経済は今後の状況変化によって大きく変わり得ると言うことだ。
不確定要素が極めて多い状態だからだ。
なので、予測が当たる保証は無いと言う慎重な態度が必要だ。
うさぴょん
うさぴょん
わかったんだぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
まず、制度及び慣例的に、順調な経済回復が見込めると考えにくい国から言うと、日本とEU諸国だ。
うさぴょん
うさぴょん
ひょえー!
たぬき先生
たぬき先生
日本は、政府が緊縮財政をかたくなに守っている限り、民間経済が活性化されず、その結果経済は回復も成長もしない。
ちょうど、1930年の昭和恐慌の状態だ。
高橋是清に政権が移り、積極財政を開始するまで、貧困層は娘を売らざるを得ない状態にまで追い詰められた。
うさぴょん
うさぴょん
それは、避けたいんだぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
世論がそうならなければどうしようもない。
追い詰められている人ほど、緊縮財政が元凶だと言うこと、つまりデフレの状況では政府の積極財政でパイを増やすことができることを知らない。
公務員を減らせだの、無駄遣いするなだの、他人のパイを奪うことばかり考えている。
財政支出の原資は税金ではなく、国全体の生産能力であることを知らない。
だから、政府は国民を分断するためプロパガンダを展開する。
若い世代の苦労を減らすために、高齢者の年金を減らすと言うのがわかりやすい。
そう宣伝することで、若い世代と高齢者世代を争わせる。
年金は福祉政策だから、昔から不足分は財政支出で賄っていた。
政府がお金を出せば良いだけだ。
若い世代も、高齢者世代も悪くない。
悪いのは政策だと言うことを隠蔽している。
うさぴょん
うさぴょん
どうすれば、抜け出せるんだぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
お金と財政について、有権者がきちんと勉強するしかない。
「長期投資家が理解すべきMMTのポイントが簡単にわかる動画」(https://kantan-beikokukabu.com/mmt-politics-910)を見ればゼロから理解できると思う。
45分弱とちょっと長いけど、この時間で入門レベルとしてはほぼ完ぺきに理解できるのだからおすすめだ。
うさぴょん
うさぴょん
EU諸国はどうなんだぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
おおまかに言って、不確定要素が2つある。
1.財政規律停止をどこまで緩めるのか?
2.付加価値税(日本の消費税に該当)、法人税などの一時停止をいつまで続けるのか?
3.中国依存をどこまで続けるのか?
うさぴょん
うさぴょん
えっ、EUでは消費税が無くなるのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
そうだね。
厳密には、色々と違うところがある制度だけどね。
EUは財政規律を守る代わり、当初はドイツの一人勝ち、後半は中国との貿易で黒字を稼いできた。
財政規律、つまりプライマリーバランスを守った場合、常に貿易黒字でないと経済成長できないからね。
つまり、他国の赤字の上に経済成長をするのが財政規律を守る国の唯一の成長戦略なんだ。
そうすると、EU諸国が中国依存から脱却するには財政規律の停止を比較的長期にわたって実施する必要がある。
うさぴょん
うさぴょん
中国依存に戻って財政規律を復活させるか、財政規律を半永久的にゆるめるか…
たぬき先生
たぬき先生
どちらの方針を取るかで将来の経済成長が決まるね。
うさぴょん
うさぴょん
アメリカはどうなんだぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
アメリカは毎年騒ぐ割に、毎年必要な赤字国債を発行するので大丈夫だ。
政府の赤字は民間の黒字で、自国通貨建ての国債にデフォルトリスクは本来無いからね。
うさぴょん
うさぴょん
じゃあ、アメリカは安泰なのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
リスクは無いわけではない。
現在、米ドルは基軸通貨だから需要が高い。
これに対して中国もEUも、事実として反発をし続けて来た。
なんらかの理由で、この基軸通貨の地位が危うくなれば米ドルがだぶつきインフレ要因になる可能性はある。
その場合は、FRBが金利を上げれば良いのだが、インフレを起こすと積極財政が難しくなる。
なので、注意すべきは米ドルを基軸通貨から引きずり落とそうとする動きの有無だ。
単なる財政赤字の累積では米国経済は傷つかない。
うさぴょん
うさぴょん
中国はどうなんだぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
これも、難しい。
EU及びアフリカ、中東、アジア諸国の中国依存からの脱却と米中覇権戦争の行方により結果は異なる。
ただ、いずれにしても経済統制はどんどん厳しくなることが予測されるので、中国に投資すべきではないのは今までと同じ。
うさぴょん
うさぴょん
ロシアはどうなんだぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
ロシアはコロナショックのドサクサに紛れて実質的にプーチン大統領の任期延長を可能とした。
コロナが蔓延しているので、集団でデモもできない間隙を縫っての制度変更。
ロシア経済のベースは原油と天然ガスなので、経済が停滞してエネルギー消費が低迷している間は厳しいけど生き残るだろうね。



【新型コロナ】今後の長期投資の展望

うさぴょん
うさぴょん
今後の長期投資はどうすれ良いのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
これもちょっと難しい。
リーマンショックと違うのは、世界中の実体経済が大打撃を受けていると言うことだ。
今後、うさぴょんの収入が途絶える可能性があるなら、ポジションを縮小して現金比率を高くした方が良いかもしれない。
あるいは追加投資分を現金で持ち、ポジションを拡大しないこと。
一方、金銭的に余裕があるなら、今まで通り投資を継続すること。
うさぴょん
うさぴょん
今後も収入が確保できるなら継続投資して、収入がやばそうなら現金の比率を高くしていざと言うときに備えるということなのかぴょん?
たぬき先生
たぬき先生
その通り!
当ブログで推奨している銘柄ならば、この大規模な経済的打撃に持ちこたえられるはずだ。
持ちこたえることさえできれば、競争相手が脱落している分、景気回復時のV字回復が期待できる。
うさぴょん
うさぴょん
なるほど。
自分の手持ち資金として必要な分を、現金化しておくのがカギなんだぴょん。
たぬき先生
たぬき先生
そう言うことだ。

投資は自己責任。

リスク管理を徹底して楽しみましょう。